【ウマ娘】ライスシャワー怪文書シリーズ「二十歳になったライスの酒癖が悪い」

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【ウマ娘】ライスシャワー怪文書シリーズ「二十歳になったライスの酒癖が悪い」
うますたぐらむの一般トレーナー
「いぇ~い! ぴすぴ~す、いぇいいぇ~い!」
「…………うん」
「も~~~お兄さまテンション上げよ?! いえーいだよいえーい、ライスとぉ~……ぴぃーす!!!」
「……ピース……いえ~い……」
――少年老い易く学成り難し。
一寸の光陰軽んずべからず。
華奢な肘に小突かれる俺の肩。
上機嫌なのは小突く者だけ――
血と汗と涙に彩られた、あのトゥインクルシリーズも。一段落してからはや数年。俺とその担当ウマ娘であったライスシャワーは、絆と言う絆を紡ぎ合い、手を繋ぎ合うだけの関係から、心と心を通わせる間柄にまで成長し。いつしかトレーナーと担当ウマ娘という、ある種当たり前の枠組みを一足飛びで乗り越えて、好き好きとキスに同棲生活……そんな甘いやり取りを交わし合う次のステップへ進んでいた。
「おっにいっさま~!」
「はい……」
俺たちがカップルになった以外に変化した点として、まずひとつにドリームトロフィーリーグが挙げられる。煌めく流れ星の到達点と評される空の上に、俺たち二人は戦いの場を移した。もうひとつにライスは有名大学へと進学、俺は新しい担当とチームを受け持つことに相成った。
うますたぐらむの一般トレーナー
プラス、寮は二人暮らしじゃ手狭だからと近場のマンションへ引っ越した。安心して欲しい。両親公認だ、どちらとも。ゆえに二人の生活は、離れることなくつつがなく進んでいく。お互い仕事に勉学にと二足のわらじを履きながら、夢の杯に向かってトレーニングをして、勝利を喜び、負けを悔しみながら、全くの言葉通り順風満帆な未来を謳歌していた。
「飲んでまっすか~!?」
「うん……」
二人で暮らし始めた頃だろうか、晩ご飯をもぐもぐしているとき、彼女は言った。
お兄さま、ライスね、とっても幸せ!
夏日を受けて鮮やかに咲き誇る、可憐なひまわりを思わせる満面の笑みに、俺は頬を緩ませるしかなく。
俺だってライスと一緒だ、幸せすぎて怖いくらいだよ!
箸を強く握り締めて、ライスのスマイルに呼応するかのように俺も目を細め、あの日叫んだ想いに嘘偽りなどない、俺はそう思っている。
「もお~お兄さまもっと楽しそうに飲んでよお、じゃないとライス……」
「え……何……?」
だって俺はもう、それはもう嬉しかったのだ。自分に近づくと不幸せが訪れる、そう嘯いていた面影なんて、彼女のどこにも無いのだと確信できたのが、とても。
うますたぐらむの一般トレーナー
「もっとぉ……」
ライスじゃお兄さまを幸せにしてあげられない、そんなこと冗談でも言いやしないと思えたのが、何よりも。
「……もっと……?」
ここまで想えてるんだ、大丈夫さ。羞恥心なんて宇宙の彼方にぶっ飛ばして、更なる高みに届く程度には叫ぼうじゃないか。俺たちは運命で結ばれた最高の二人だ、悪事はダメだがそれ以外なら何だって愛してやる、いや、愛させてくれ、愛したいんだあああああっ!!!!!
……と。心底から思っていた。
「もっとのんじゃ~う! うふふふ、あはははは~!」
そう、ライスが二十歳になるまでは。
「……はあ……」
「あーっ! だめだよお兄さま、ため息なんて幸せが逃げちゃうよ!」
「ご、ごめん……」
「うん、よろしい! ほら、お兄さまもっと飲もうもっと~! うれうれ、うれうれ~!」
痛みのないマシンガンジャブで脇腹をぐりぐりされながら、俺は深い絶望に身をやつす。こんな一面があっただなんて、知らないよそんなん。ライスが飲めるようになって結構経つけどさ、慣れないんだ、なかなか。つらい。次の日には全部忘れてるしね、ライス。不思議だ、用意できたはずの笑顔が引き攣って仕方ない。
うますたぐらむの一般トレーナー
「あー、うん。おいしい、おいしいねお酒ね」
「じーっ……」
「ち、ちゃんと飲んでるよ、お酒、うん……ええと……ラ、ライスは?」
「うふふ、ありがとお兄さま。私は~……いま……んっ、んっ、んっ……ぷはぁ~っ! のんだあ~っ!」
宅飲みだってのにああ~、しんど。幸せいっぱい飲もうかなじゃないんだよ、ほんとに。というかこのやり取り、すっごいデジャヴるんだよね。ええとそうだ、昨日の二十三時くらいにもやった気がするよ。ダメだろ、洒落になんない。俺の手に負えなくなる。どうにかして活路を見出そうと、赤ら顔のライスを見つめてみる。
「あっ、お兄さまライスのことたくさんみてる! もっともーっとみていいよ、えへへぇ……でも今はもうおしまーい! えーい、ライスぅ……あたぁーっく!」
どうしたらいいかな。ご覧のありさまでもーよくわからん。軽いタックル……なんだろう、エビ反り的なアタックを食らって吹っ飛ばされ、まるで干ばつに喘ぐ砂漠の民のように天を仰ぐ。そのついでに白目も剥く。ライスはずっと満面の笑みだ。つまり、まだ元気一杯。彼女が疲れて眠るまで、まだまだ時間がありそうだった。
うますたぐらむの一般トレーナー
「どうして……」
えーん……ええん……。ラグマットの上に寝転がり、女々しくめそめそする。どうして、どうして僕は泣いているんだろう。理由がいまいち分からないので、とりあえず少し考えてみよう。共に駆け抜けたあの三年によって、ライスは自信を付けたのだろう。近頃では出会った当初とは比べ物にもならないほど、自分のやりたいことをはっきりと伝えてくれるようになった。これは確かなことで、親類縁者はおろか彼女の友達も間違いないと頷いてくれるだろう。
とはいえ、ライスの本質が変わったわけではない、と思う。探そう、探そう探さなければ。お淑やかかつ儚くも健気で、すみれのような笑顔を咲かせる俺のライス……
「お兄さまだいすき~、いえ~い!」
肩を組まれて横に揺れれば、上機嫌なピースサインが俺の頬に突き刺さる。
あはは。言われなくても知ってるよ。この場にはいないよな、うん。ちょっとかなしい。
「お兄さまは? お兄さまもすき? ライスのこと……」
「……ぉん」
うますたぐらむの一般トレーナー
先週の惨事が脳裏を過る。酔っ払ったライスを宥めるために愛ラブユーと告げたあと、俺の預かり知らぬところで手当たり次第に電話を掛け出して、『お兄さま、私のこと好きなんだって!』と関係各所に伝えまくり、翌日出勤した俺を困惑と恥ずかしさで爆発させたあの事件――
――もうイヤなんだ、チームのみんなや同僚たちにあんな生暖かい目で見られるのは。極限まで目を細めた苦笑いでお茶を濁しつつ、お酒っぽく振る舞わせている手持ちの水で喉を潤す。
「お兄さま、おにいさま~!」
「はい、いるよー」
いや、愛想が尽きたとかは無いよ?
実際これも可愛いよ?
可愛いけど分かるだろ、毎日これはキツイんだよ。
絡み酒メインなんだよ、ライスって。
つーか酒覚えたの一ヶ月前とかじゃん。おハメ外し過ぎでしょ。
こんなあられもない姿、超最近まで見たことなかったよ。
まあ確かにね、友達とご飯食べに行くってメッセージが来た翌日、死んだ顔してトレーニングに参加してきたときがあったけど……何を聞いても言葉を濁すから一緒に行ったらしいブルボンに聞いたら、ブルボンすらも目を逸らしたようなときはあったけど!
うますたぐらむの一般トレーナー
「うふふ、いた~。だめだよ、もっと、もっと飲まなきゃ~」
「あ、あはは、おぉ……」
「そーれ、一気、はダメだからゆっくり~じっくり~……はい、はいっ、がんばれがんばれお兄さま! がんばれがんばれお兄さま! わあ~っ!」
「ええ……? 俺って金貨でも取ろうとしてるの……?」
「しょ~ぉう! ライスのために、もっとぉ~……のめえ~!」
ここまで酒癖酷いのが常なのは、想定外にすぎるだろう!
ぐえぇ。ハイパワーなスキンシップに俺の身体がやや軋む。しかし、潰れたカエルよろしくの悲鳴など、ライスの耳には届きはしない。酒瓶の腹で頬をぐいぐいと押されながら、狂暴なりし酒乱をどう制御したものか思考を巡らせる。絡んできているのが普通の女の子であれば、ほどほどにしておけと諫めるだけで終わる。しかし、ライスはウマ娘だ。事はそう簡単に終わる話じゃない。
「あの……ほどほどに、しよう?」
「……むぅ~……やーだ」
「ライス、君は明日大学……」
「ライス明日はとってるコマないもん! おやすみなの! お兄さまも明日は振替休日でしょ?! たまのお休みなんだもん、一緒にたくさん……のも?」
うますたぐらむの一般トレーナー
うん、やっぱりダメだ。酒を入れたときのライスは、甘えん坊の割合がいつもの八割増しになる。少女のように自分のシャツの裾を掴みながら、上目遣いに瞳を潤ませ訴えかけてくる。だが、俺は絆されない。片方の手には未だ酒瓶が握られているし、頷いた瞬間口に酒瓶突っ込まれかねない。何より、ええいままよと飲んでしまえば、俺の休日がダメになる。なんとしてもそれは避けたい、あ、ちなみにもう朝だ。正確な時間は把握してないが、遠くからスズメの優しいさえずりが聞こえ出している。流石にこれ以上の延長戦は許容できない、体内時計狂っちゃう。
何、もうとっくの間にダメになってんだろって?
「いや、もうダメだって……!」
何だとチクショウ、うるせえうるせえ、やかましい。
「えぇ~、やだやだやだ、ライスもっとのむ~!」
仮にダメになってたとしても、出来るだけ抵抗したいだろ。
「この辺で、その、おしまい、な?」
明日も明後日も日常は続くのだから。
「……なんだとぉ~?」
ゴメン、嘘。こわい。ライスこわい。またダメでした。説得作戦は大失敗。床に転がったまま泣き付く俺を、ヤクザが凄むが如くの眼差しでライスはねめつける。
うますたぐらむの一般トレーナー
しかも歯まで剥き出してる。怒りすぎでしょ、そこまでか。彼女の手にしたコップから僅かに残った酒が溢れて、ベージュのラグマットにぽつぽつとした染みを作る。とりあえずこのままじゃ収まるものも治まんない。俺は生暖かくなりつつある床から起き上がって。着火済みのダイナマイトを処理するために問いかけた。
「今日はやけに上機嫌だけど、なんで?」
「それは……」
そう口を開いたとき、かくん。ライスの頭が急に傾いだ。
「おにい……さま……」
ああ、ついにか。体力が尽きるときが来るのはいつだって唐突だ。
「眠い?」
「うん……もう……」
八時間ぐらいの戦いはもうじき終わりを迎える。だと思うとか、多分やきっとではなく。過去の体験が語ってくれる、ライスのすっごく眠たいよってサインを。言葉に出来ない、この想い。ホッと胸を撫で下ろしながら、スマホをポケットから取り出す。時刻は五時を回りそうなところ。長かった、ああ長かったな。明後日の方向にある天井を見上げた。
うますたぐらむの一般トレーナー
お姫様ってのは、少しぐらい自分勝手な方が可愛い。いつだったかの飲み会で同僚が熱弁を振るっていた気がするが、当時は話半分程度にしか思っていなかった。だが、近頃になって突然納得できたのは、全く嬉しいやら哀しいやら。
「ライス」
「なぁに……」
まあ、こうまでなってしまったのなら。
考えるだけ今更で無駄な気もするし。もういいや。
何もかも後回しにして、今日をダメにしてしまおう。自分のコップをテーブルに置いて、酒瓶とコップを優しく取り上げて。俺は両手を軽く広げて、受け入れる態勢を整えた。
「ほら、おいで」
「ん……」
「ぎゅーってしよ、ぎゅ~っ……」
「はい、ぎゅ~っ……」
「えへ~……かたくてあったかいねおにいさま……」
「はは、ありがと。おやすみ、ライス」
「うん……おやすみ……」
うますたぐらむの一般トレーナー
子守歌を歌うまでもなく、ライスはものの数秒で眠りに就く。ああ、ようやく。昨日の今日が終わったんだ。深い安堵の溜め息が、肺の更に奥底から出て行く。
「よし……」
明け方の白がカーテンの隙間で光るなか。俺は彼女をコアラ抱きしたまま立ち上がり、なるたけ静かに寝室へと向かった。だいぶ眠いなあ、片付けは起きてからでいいか。胸元で可愛い寝息を立てるライスと共に、二人でもかすかに広いダブルベッドへ身体を預ける。徹夜と酒の力に身を任せて、俺はゆっくりと目を瞑った。
即座に澱んでいく意識の端で、できれば、十二時くらいには起きたいなあと思いながら……
「むにゃ……お兄さまと……いられるのが……しあわせ……」
うますたぐらむの一般トレーナー
酒飲んだライスはこんな感じだといいなという幻覚ですお納めください
うますたぐらむの一般トレーナー
かわいい
うますたぐらむの一般トレーナー
かわいい











うますたぐらむの一般トレーナー
絡み酒ライスか…
うますたぐらむの一般トレーナー
いい…
うますたぐらむの一般トレーナー
撮影して見せたい
うますたぐらむの一般トレーナー
録画して素面のときに見せたいね
うますたぐらむの一般トレーナー
的場さんも大変だな
うますたぐらむの一般トレーナー
録画して見せたらこの世の終わりみたいな顔して酒瓶に一切近寄らなくなりそう
うますたぐらむの一般トレーナー
眩いばかりの若さだ
うますたぐらむの一般トレーナー
毎日か…うーん…
うますたぐらむの一般トレーナー
健全な大学生なら優秀なやつでも宅飲みハマったらこんなもんだヨッ!
うますたぐらむの一般トレーナー
そうして大失敗もして距離感を覚えていくんだ
トレーナーにもあったんだその時期は
うますたぐらむの一般トレーナー
やっぱりブルボンさんとブルトレとかよんで全部録画してもらうとかした方が…
うますたぐらむの一般トレーナー
>やっぱりブルボンさんとブルトレとかよんで全部録画してもらうとかした方が…
(苦虫を噛み潰したような顔するブルボン)
うますたぐらむの一般トレーナー
そのうちあにきぃ~とか言い出す
うますたぐらむの一般トレーナー
>そのうちあにきぃ~とか言い出す
雑穀!バシィ
うますたぐらむの一般トレーナー
米酒と相性がよすぎたか…
うますたぐらむの一般トレーナー
いいけど嫌だな…いや…でもいい…いやでもなあ…毎日これは……
引用元:https://www.2chan.net/
agunesu_dezital